食肉用の鶏を育てるにあたって、まず私たちが何より大切にしているのは、「いただきます」という気持ち。手をかけて育てた鶏が出荷されて肉となったとき、その尊い命をちゃんといただかないといけない、そう感じる気持ちです。料理されて人の口に入り、おいしいと感じてもらう時こそが、鶏が報われる瞬間。そのために、日本の養鶏ではまだ欠けている考え方ですが、飼育におけるアニマルウェルフェア(動物福祉)の観点を大事にしています。
狭い鶏舎ではなく平飼いで飼育することもそのひとつ。また、鶏がケガなどで弱ったときも、一般的な養鶏では効率優先でそのまま死なせてしまうところを、私たちは「死なせない」ことに全力を尽くします。例えば、ケガをしたら別の部屋に隔離して、倒れないように鶏に合った補強具をDIY することも。するとほとんどの鶏は自身の治癒力で回復し、きちんと出荷されるところまで行き着きます。 商業ベースで考えれば非効率的かもしれませんが、私たちは商品ではなく生き物を育てているという目線を決して忘れず、鶏の生命力を信じます。こうした丁寧な育て方が、人に喜ばれるおいしさにつながり、鶏に報いることになると考えています。全従業員に浸透したこの思いが、仕入れたヒナに対する出荷率%という、常識では考えられないほどの高い数字につながっているのです。